Lowden S-25 Custom のネック折れ修理
Lowden S-25 Custom ですが、アクシデントでギターを倒してしまい悲しいことにネックが折れてしまいました。よく見ると以前に修理した形跡があり、どうやら2度目のようです。
とりあえず割れ箇所を接着することにしました。ヘッド裏側にはボリュートがあり、微妙な曲面がありますのでそれに合わせてクランプ用の当て木を作らなくてはなりません。ヘッドの形状に合わせて合板をカットし、木工エポキシパテを使ってボリュートの型を取ります
エポキシパテが硬化したら割れ箇所に合わせて整形します
はみ出た接着剤が拭き取りやすいように当て木の大きさを調節します。ヘッド表面側は5mm厚のアクリル板を使います。接着時にはワックスペーパ-を挟んでくっ付かないようにします
クランプが掛かるスペースにはすべてクランプし、さらにヒモも使って割れ箇所がずれないようにします。手順を何回も練習してからアラルダイト(エポキシ接着剤)で接着ます。そしてそのまま2~3日養生します
表側からは3弦と4弦を張ってズレを防ぎます。クランプ可能な箇所には大小のクランプを駆使して取り付けます
クランプをはずした状態です。このまま仕上げても使用可能だとは思いますが、2度折れているということでさらに強固にするため、FRP補強をすることにしました。この修理方法は木を貼ったり削ったりなどの大掛かりな加工が必要ない割には十分な強度が出るのでおすすめですが、それなりにけっこう難しいんですよ!(笑)
まず割れ箇所付近の塗装をはがして木地出しします。ボリュートの先端から割れの先端辺りまではがします
木地出しした箇所をガラス繊維で覆います
そのガラス繊維にアラルダイトを塗り込んでいきます。ホットガンで暖めながら行なうとかなり粘度がシャワシャワになって浸透しやすくなり繊維質が見えにくくなります。そのまま2~3日養生して十分硬化させます
十分硬化したらマスキングテープをはがし、余分なガラス繊維をカット又は削って箇所のキワを整えます
FRP補強箇所のレベル出しをします。凹み箇所があればポリエステルを盛ってツラ出しします
箇所のレベル出しが終わったらサンディングシーラーを数回塗装します
スプレーガンを使ってプライウッドの線を書き足します。もちろんマスキングします
周辺の雰囲気に合わせてブラウン系の色を調合して着色塗装します。それからネック全体を軽くオーバー塗装してよく乾燥させます
十分乾燥させてから、ペグを取り付け各部を調整して仕上げに入ります
ネック折れ修理が完了しました。遠目ではほとんど割れは分かりません
ロッド調整、ナット調整、弦高調整が完了し、元のいい状態に戻りました。もう倒さないことをお約束してお渡ししました。(笑)