Dell'Arte / Minor Swing にBigtone PU付きブリッジの取り付け
Dell'Arte / Minor Swing にBigtone PU 付きブリッジをセットアップします
PU付きブリッジを仮セットしてみます。このブリッジはDupont製のため長さが少し短めで両脇約2mmほどすき間が空きます
両脇とも約2mmのすき間が空くため何らかの対策が必要です
両脇にすき間があるとピッキングの際にブリッジがずれてしまい、安定した演奏が出来なくなる可能性があります。これらの不具合を改善するにはおおよそ3通りの方法が考えられます。1-すき間に木を挟んで固定。2-ヒゲを一旦はがして内側に貼り直す。3-ブリッジに直接木を貼り一体化する。などですが、今回は一番作業し易い、すき間にエボニー材を貼る方法を選択しました
エボニー材を削ってすき間に合うピースを作ります
ブリッジを仮セットしてすき間を調整します
すき間が合ったらヒゲの幅に合わせて長さをカットして仕上げます。ヒゲに合わせてツヤ、丸みなどの雰囲気をそろえて両面テープで貼ります
ブリッジから出ているケーブルの位置に合わせてトップに穴をあけます。私はピンバイスで開けるようにしています
ケーブル通し穴は余裕を持たせて少し大きめに開けます
次にブリッジをセットして弦高を合わせます。1弦と6弦を仮張りして弦高をチェックし、どのくらい削る必要があるかを把握します
弦高のシミュレーションをしたところ、かなりブリッジを削る必要があることが分かりました。そこでブリッジ上面削りだけでなく底面も0.5mmほど削ることにしました。ブリッジ底面に0.5mmのガイド線を引いたら、線に沿ってスピンドルサンダーで削り取ります
120番と220番を使ってブリッジ底面のフィッティングをします
底面が合ったら、次に1弦と6弦の弦溝を付けます。オリジナルブリッジを参考にして弦幅を決め、仮溝を付けます
1弦と6弦を仮張りして指板の振り分けを見て位置を決めます。その際、テイルピースからの弦の向きもチェックします。どちらかに寄っていたりするとセンターが出ていないことになりますので、テイルピース位置の修正などが必要になる場合もあります。テイルピースのセンターが出ていないと折れ曲がり箇所の片方に過剰な負荷が掛かり割れやすくなる可能性があります。ちなみにこのギターは問題ありませんでした
1弦と6弦の溝が付いたら他の弦の溝を付けていきますが、私はStewMac のString Spacing Rule を使って溝を付けます
1弦と6弦の弦溝を付け、予定弦高近くまで掘り下げたら、上部をレジアスブロックである程度削っておきます。それからSpacing Rule で各弦ごとの溝を付け弦高も合わせていきます
弦溝付けが完了したらブリッジ上面を整形します。スクレーパーや両甲ヤスリなどで形を整えサンドペーパーで仕上げます
両甲ヤスリの曲面を利用してブリッジ上面の整形をします
ブリッジの整形が完了しましたが、ローズウッドの木地がそのままなので黒色着色をしてオリジナルブリッジに近づけます
内部の様子です。PUケーブルは余裕を持たせて通してあります
エンドピンジャックの様子
PUケーブルが内部でぶらぶらしないように裏板のブレーシングに付けたワイヤークリップで固定します
Bigtone PU付きブリッジのセットアップ完了です。黒染めでオリジナルの雰囲気が出ました
エクステンション・ヒゲの収まりも悪くないと思います
正面から見た状態ですがそれほど違和感はありません
このギターはBigtoneブリッジのセットアップのほかにフレット周りの修理も行い、全体的にかなりいい状態になりましたのでライブでも安心してパフォーマンス出来ることでしょう!